<腹膜播種に対する一般向け解説書>
<腹膜播種に対する一般向け解説書>
賛助会員にご入会されますと、腹膜播種-最新の診断・治療-第2版を進呈します。
  

 

<専門書>

腹膜播種の治癒をめざす包括的治療 2017
腹膜播種の治癒を目指した基礎的・臨床的エビデンスに基づいた包括的治療を習得する。最新の情報を追加した第3版目である。
出版: NPO 腹膜播種治療支援機構 (2016)
ISBN 9780-4-9906097-3-3

Amazonでご購入ください。

完売しました。

<2年の歳月を経てアトラスが完成>
<2年の歳月を経てアトラスが完成>

腹膜播種に対する腹膜切除アトラス
ISBN 9780-4-9906097-0-2

完売となりました。

 

 

厚生労働科学研究費補助金

難治性疾患克服研究事業

 

<キーワード>

・腹膜偽粘液腫

・腹膜播種

・HIPEC

・腹膜切除

・国際腹膜播種学会

 

NPO法人

腹膜播種治療支援機構


情報

成り立ち

虫垂や卵巣に粘液産生腫瘍が、内腔に粘液をどんどん貯めていきます。次第に内圧が上がり、ついに虫垂や卵巣の壁を突き破り、粘液と腫瘍細胞がおなかの中にこぼれ落ちます。こぼれた腫瘍細胞は腹膜に開いている小さなリンパ孔に取り込まれ、その中で増殖するようになります。このリンパ孔がある腹膜とない腹膜があり、転移しやすいのはリンパ孔のある腹膜です。
転移しやすい腹膜は、横隔膜の下面・胃の周辺の大網・卵巣・骨盤腹膜・肝臓と脾臓の表面です。

診断方法

腹水があるときは細胞を調べれば診断がつくことがありますが、粘液が主体の腹水では診断ができないことがあります。しかし、大量の粘液が確認できれば診断は困難ではありません。
重要なことは腹膜偽粘液腫には良性、中間悪性と悪性例の3種類があることで、治療後の予後が異なることです。腹水の細胞診だけで良性・悪性の診断は困難です。こういう場合は以前の手術標本(パラフィンブロック)を前医から借用すると、診断が可能です。良性、中間悪性、悪性かの診断は治療法に直接関わるので是非とも標本の借用をしてください。
さらに重要なことは転移の場所の診断です。CT, MRIを行うことが重要です。腹水は黒く写り、硬い粘液は白く写ります。肝臓表面、胃周辺の転移を診断しておくことが重要です。MRIで手術前に転移の分布をある程度診断できます。
腫瘍マーカーではCEA,CA19-9,CA125を測定すると転移の量と完全切除できるか否かを知ることができます。CEAが正常な例は前例完全に切除できました。

治療方法

腹膜偽粘液腫は、全身化学療法はほとんど無効と考えられています。その原因は血流が乏しく、投与した抗がん剤が分布しにくい、増殖が遅く薬剤が効きにくいことにあります。また、細胞成分が少なく、細胞が死滅しても粘液が遺残し、無効と判定されている可能性もあります。したがって、治療は外科的に可及的切除することがもっとも有効な治療法です。柔らかい粘液や腹水で構成される部分と、硬い粘液で構成される固形粘液部分があります。腹水には粘液を周囲に持つ遊離がん細胞が認められるので、手術中は腹水を吸引し、腹膜や剥離面にこびりついている粘液を洗い落とす必要があります。このとき温熱化学療法が非常に有効です。  
腹膜切除は偽粘液腫に侵されている腹膜を完全に切除する唯一の手術方法です。
結果、腹膜偽粘液腫が転移しやすい腹膜があることがわかっています。切除する腹膜は症例により異なりますが、転移しやすい腹膜を重点的に調べ、転移があれば切除します。
直腸が高度に侵されていた場合は直腸を合併切除し、直腸・結腸吻合を機械吻合で行い人工肛門をしないようにします。縫合が破れるのを防止のため回腸漏をすることがあります。肝臓被膜は特に高い頻度で転移が認められます。この転移を完全切除するには私どもが開発した肝臓被膜のみの切除方法があります。肝臓の被膜を肝実質から剥離するようにすれば完全に切除できますが、これをグリソン被膜切除と名付けています。この方法の開発により、肝臓をまったく切除することなく、転移のみを切除できるようになりました。すべて脾臓の被膜も同様に転移しやすいので必要があれば脾臓を切除をすることもあります。粘液が腸間膜に薄くこびりついているようなときは電気メスで蒸散させることが可能です。

腹膜播種の定量化

腹膜播種を定量化するために腹膜播腫スコアPCI(Peritoneal Carcinomatosis Index)を提唱しています。腹腔を13箇所に分類し、各々の部分の播種の程度を4段階に分けるものです。13箇所のスコアを総計したものをPCIとして表現します。この方法では最小スコア0、最大スコア39で現すことができます。従来用いられているスコアでは広い腹膜の転移状況を詳細に表現できませんでしたが、PCIを用いれば腹膜切除の適応を決めるのに有用であるばかりでなく、腹膜切除後の遺残腫瘍をあらわすにも有効です。
完全切除の目安にPCIが有用であると考えられています。PCI20以下では完全切除ができる可能性が高く、PCI28以下の例では有意に予後が良好です。手術前にMRIによるPCIを入念に計算し、完全切除できるように腹膜切除をするか否かの判断をすることが重要です。