<腹膜播種に対する一般向け解説書>
<腹膜播種に対する一般向け解説書>
賛助会員にご入会されますと、腹膜播種-最新の診断・治療-第2版を進呈します。
  

 

<専門書>

腹膜播種の治癒をめざす包括的治療 2017
腹膜播種の治癒を目指した基礎的・臨床的エビデンスに基づいた包括的治療を習得する。最新の情報を追加した第3版目である。
出版: NPO 腹膜播種治療支援機構 (2016)
ISBN 9780-4-9906097-3-3

Amazonでご購入ください。

完売しました。

<2年の歳月を経てアトラスが完成>
<2年の歳月を経てアトラスが完成>

腹膜播種に対する腹膜切除アトラス
ISBN 9780-4-9906097-0-2

完売となりました。

 

 

厚生労働科学研究費補助金

難治性疾患克服研究事業

 

<キーワード>

・腹膜偽粘液腫

・腹膜播種

・HIPEC

・腹膜切除

・国際腹膜播種学会

 

NPO法人

腹膜播種治療支援機構


目的

この研究では本邦における1)PMPの発生頻度、2)組織学的悪性度と予後の関連、3)転移のメカニズムの解明を行なうとともに4)安全で根治性の高い手術療法・有効な化学療法の確立をめざす。今まで本邦ではこのような研究結果の報告は我々の報告以外まったくない。

 

1)研究代表者の医療施設では本邦で発生すると予測されるPMP症例(1年間で120例)の約80%を治療していると推測している。PMP症例は産婦人科で最初に診断されることが多い。PMPを多数経験している婦人科医の参加のもとにアンケート調査を行なう。


2)PMPの組織分類は播種性腹膜粘液腺腫症(DPAM)と腹膜粘液性癌腫症(PMCA)がある。最近は悪性では上皮増殖因子受容体(EGF受容体)が発現していることが報告されている。我々が経験した387例の切除標本の遺伝子発現・免疫染色を行い、異常発現している遺伝子を同定するとともに予後との関連を調べる。


3)我々は腹膜転移の形成に腹膜下リンパ管が重要な役割を担っていることを解明し、報告してきた(Inter J Clin Oncol. 2005:10:318-327. Cancer Sci. 98, 11-18, 2007)。PMPの転移機構としての腹膜下リンパ管関与について解明する。


4)腹膜播種の集学的治療に腹膜切除とPMPの根治手術として腹膜切除が開発された(Ann Surg Oncol. 2007:14:2702-2713、J Surg Oncol. 2009:15:311-316.)。PMPは組織学的境界悪性でも進行すると完全切除はできなくなり、悪性例と同様な病態を示すことが報告されている。したがって、播種を完全切除できる腹膜切除が最も有効な治療法と考えられている。 PMPの外科治療における腹膜切除・術中温熱化学療法の有効性を手術時間・輸血量・術後合併症発生頻度・術後QOL/予後から検討する。


5)組織学的に境界悪性とされる播種性腹膜粘液腺腫症(DPAM)の術後5年生存率は我々の成績では90%であるが、悪性である腹膜粘液性癌腫症(PMCA)は48%と不良である。 原因は腹膜での再発、切除が不完全で腫瘍が遺残するためである。PMCAに対する全身化学療法の有効性について検討する。

 

 

研究計画・方法

1)PMPの発生頻度の検討(藤田拓司・米村豊・平井一芳):我々が既に経験した523例のPMP症例のデータ解析を行なうと同時に、婦人科・消化器外科を標榜している施設に過去2年間のPMP経験症例をアンケート調査する。

 

2)組織学的悪性度と予後の関係(遠藤良夫・米村豊):過去に治療されたPMP症例(播種性腹膜粘液腺腫症(DPAM)192例と腹膜粘液性癌腫症(PMCA)195例)の病理組織をロンネット分類で分類し(Cancer;2001:92:85-91)、予後との関連を検索する。また、パラフィン包埋切片を用い特異抗体(Ki67, CK7, Cl20, EGF受容体など)を用いた免疫染色を行ない、悪性度を検索する。PMP切除材料における遺伝子発現をDNA チップ・プロテオーム解析で網羅的に分析する。DNAチップはヒト全遺伝子とそのトランスクリプトを搭載したGeneChip(Affimetrix社)を使用、得られたデータはGeneSpring (Agilent社)で解析する。PMPは癌実質細胞比率が低いのでマイクロダイセクションで癌細胞、間質細胞を切り出し、それぞれで発現している分子をDNAチップで網羅的に調べる。

 

3)腹膜転移のメカニズムの解明(三浦真弘):PMPは通常の癌と異なり血管新生や浸潤能は低いと考えられる。したがって転移は腹膜下リンパ管を介する転移を主体とすることを我々はみいだしている。腹膜下リンパ管は切除した標本を5’-ヌクレオチダーゼーアルカリフォスファターゼ2重染色・走査電子顕微鏡・実態顕微鏡を用いてリンパ管を介するPMP細胞の転移を調べる(三浦真弘Jap. J. Lymphology;33(1) : 2-11,2010)。また、インドシアニングリーンの蛍光を赤外線カメラシステムPDE(浜松ホトニクス)で測定し、腹膜下リンパ管の多い腹膜がどこにあるかを検索する。(Kitai T:Open Surg Oncol J 2010;2;78-82)

 

4)安全で根治性の高い手術療法・有効な化学療法の確立(片山寛次・宮本謙一・水本明良・平野正満・米村豊):腹膜播種を定量化するための腹膜播種スコアPeritoneal Carcinomatosis Index (PCI)とは、腹腔を13箇所に分類し、各々の部分の播種の程度を4段階に分ける。13箇所のスコアを総計したものをPCIとすると、PCI 28以下では完全切除できる可能性が有意に高いことを証明した。平成23年度に経験する症例を介して、この定量化システムの妥当性を検証する。腹膜切除導入前では17例中2例(12%)しか完全切除ができなかったが、導入後は348例中175例(50%)が完全切除することができた。完全切除例の予後は良好で、5年生存率90%だが、不完全切除例では48%と不良であった。不完全切除の原因はPCI28以上・65歳以上の高齢者・小腸間膜高度転移・緊急手術例・従前の手術回数が多い例であった。このような例でも完全切除できるように、2期的手術・化学療法後の再切除を取り入れたいと考えている。